1、もっと体を鍛えろ。
2、服が破れたから新調しろ。
3、唄をちゃんと全部思い出せ。
4、猫飼うぐらいなら蛇飼え。
5、俺の許可なく死ぬな。
以上。
∬月δ日
=クートの日記=
昨日は、どうにも、記憶がなくなっているようだ。
ライゼとデオークさんと一緒に、パーティの集合場所に向かっていたことは覚えているのだけれど、
その途中で何があったのか、俺は覚えていないようなのである。
デオークさんによると(ちなみに先程デオークさんに殴り起こされた)
「お前後で問い詰めてやる、っつか考え無しに行動すんじゃねぇとりあえずもう一発殴らせろ!(実際殴られた)
とりあえず俺は石ころさんに治癒魔法お願いしてくる、お前何も歌ったりすんなよ!
ちっくしょーあんのくそ赤眼野郎今度会ったら…二度と会いたくねぇよ!」
だそうだ。正直意味が分からない。
デオークさんが何故全身擦り傷だらけだったのかも分からない。
帰ってきたら、色々と問い詰めたい気分なのはむしろ俺の方だと思う…。
ともかく、起きた後、何故か無造作に落ちていた俺の日記帳には、
↑俺の筆跡ではない字で伝言が残されてた。
デオークさんも共同で書いているけど、彼とも違う字だ。
実際俺の服は破けていたわけで。(新調しないのはセンス云々よりお金がないからなので無理だ
気になるのは、「3、唄をちゃんと全部思い出せ。」と「5、俺の許可なく死ぬな。」
”唄”を全部、とある。
どういうことだろうか。
”俺”の許可なく、とある。
・・・・・誰、なんだろうか。
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暗い。
これは、空間か。あるいは、無か。
空間と呼ぶにはあまりにも広がりがなく、
無と呼ぶにはあまりにも、哲学がない。
ふいに、暗がりが揺らめく。
次の瞬間には、其処には男が一人。
ほとんどが背景に同化する中、二つの紅い瞳だけが浮かび上がっている。
相変わらず、暗い。
一番、見慣れた光景だ。
久しぶりの『外』も、相変わらずだった。
変わったのは、゛媒介゛だけ。
゛アイツ゛と゛コイツ゛の違いは、やはり自分にも影響した。
だがしかし、やはりよく似ていると言うべきだろう。
゛ふふ、私の、宝物だよ゛
ふと、アイツの言葉を思い出した。
゛君の生き方を否定はしないよ゛
そう言い切った人間も珍しかった覚えがある。
その甘いところが癪に障るんだ、と言ってやったこともあったか。
゛代わりに、私の生き方を否定される気もない゛
そうだ、お前はそうも言った。
───そのお前が何故、俺を遺す必要があった?
「…………最後までつくづく食えねェ野郎だぜ」
ああ、だが、感謝するぜヨハネス。
───こんなにゾクゾクするのは、久しぶりだからな。
一瞬、紅い二つの灯が、風に吹かれたように揺らめいて―――消えた。
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